リスティング広告を運用している方で、表示が予想していたよりも少ないと感じたことはないでしょうか。自分も想定していたメインキーワードで思ったより、表示が出ずサイトの流入も少ないので結果が出なかったことが何度かあります。
キーワードプランナーで全体の母数を出しているので、大丈夫だと考えていたのですが、実際に配信してみるとぜんぜん違う結果になってしまいました。
そんなときに利用したのが動的検索広告です。今回は動的検索広告についてまとめます。
動的検索広告(DSA)とは
Google広告(旧:Google AdWords)の検索連動型広告の機能で、ウェブサイトの内容をもとに自動的に広告を表示してくれます。
通常の検索連動型広告の場合、キーワードとリンク先URLを設定しますが、動的検索広告はこの作業をすべて自動的におこなってくれます。
商品点数の多いECサイトなどでは、商品名をキーワードとして追加する作業は、かなりの時間がかかります。しかし、動的検索広告の場合はサイト内を情報を読み取り、最適なキーワードや最適なリンク先を自動的に判断し、広告として表示してくれます。
検索ユーザーは関連性の高いURLに誘導されるので、CVRも高くなります。
動的検索広告(DSA)のメリット
動的検索広告を利用するメリットをご紹介します。
検索キーワードを設定する必要がない
動的検索広告ではキーワードを設定する必要がありません。Googleがユーザーの検索キーワードに対して、最適なコンテンツを広告として表示してくれます。また、広告タイトル文も自動で作成してくれます。
もちろん通常の広告と同じように、検索クエリを確認できます。不必要なクエリがあった場合は除外もできます。逆に、思いつかなかったキーワードを見つけることができ、CVが出ているキーワードを検索連動型広告に追加もできます。
また、通常の検索連動型広告と動的検索広告のキーワードが被った場合、検索連動型広告が表示されます。正確にはその時の、広告ランクが高い広告が優先されます。
通常の検索連動型広告の場合、クリック単価を高めに設定してあることが多いので優先されます。
広告ランクが高く、クリック単価が安い
動的検索広告は広告ランクが高く、クリック単価が安くなりやすい傾向があります。
最近のアカウント構造では、キーワードごとにURLや広告文を設定しないので、どうしても広告ランクの低い広告が出てきてしまう場合があります。
動的検索広告の場合は、リンク先の情報を元に、キーワードや広告が生成されるので、キーワードやリンク先との関連性が高くなります。
結果、広告ランクが高くなり、クリック単価が安くなります。
動的検索広告(DSA)のデメリット
動的検索広告を利用するデメリットをご紹介します。
ページコンテンツが充実していないと使用できない
ページ内のコンテンツが不十分だったり、画像だけのサイトだと使用できません。サイト全体のページ数が少ない場合もうまく機能してくれません。
なので、商材によっては動的検索広告は使用できません。
定期的な除外が必要
こちらは検索連動型広告でも言えることですが、除外が必要です。動的検索広告の場合は会社概要なども広告として表示される可能性があります。
通常のキーワードによる除外も可能ですが、動的検索広告の場合URLを指定して除外することも可能です。なので、会社概要やお問い合わせページなどは予め除外するといいです。
実際に動的検索広告の配信をおこなった事例
とある鉄板加工業者さんの広告で動的検索広告を使用しています。
現在は通常の検索連動型広告でメインキーワードで配信し、動的検索広告は部分一致でのキーワード拡張の代わりとして配信しています。
こちらのサイトの特徴として、通常の鉄板加工はもちろん、個人のDIY加工も対応できるのが特徴です。車のウイングや棚、机などを制作でき、図面がなくても手書きのスケッチを提出すればイメージ通りの物を制作してくれます。
その分検索キーワードがまちまちで、ビックキーワード言えるものが余りありませんでした。部分一致でも入稿したのですが、どちらかといえば業者向けのクエリが多くて、個人向け顧客に合うキーワードがありません。
そこで、動的検索広告を使用することにします。理由としては制作事例のコンテンツが充実しており動的検索広告と相性が良さそうだったからです。
また、アナリティクスで確認したところ、制作事例ページからのCVRも高く、クライアントさんに確認したところ「制作事例と同じようなものを制作してほしい」との依頼も多いとのことなので、テストも兼ねて配信を1週間ほど配信してみました。
動的検索広告(DSA)の配信結果
部分一致の広告グループと動的検索広告を配信しどちらがいいか検証した結果です。
※動的検索広告を配信している期間は、部分一致の広告グループは停止しています。
日予算はどちらも2,000円で設定してあります。また部分一致の広告グループに関しては、上限クリック単価を80円で設定しています。
部分一致の広告グループでは、表示が少ない影響かクリックも少なく結果がよくありません。
動的検索広告の広告グループでは、表示は約4.8倍の3,301回となり、それに比例してクリック数も増えています。
また、平均クリック単価も18円ほど抑えて運用ができています。コンバージョンに関しても期間で10件の獲得ができ、CPAも391円と良い結果が出ました。
動的検索広告(DSA)を配信してわかったこと
部分一致と比べ、全体的にパフォーマンスがいいです。具体的には表示回数が圧倒的に違います。また、クリック率に関しても、ユーザーの検索キーワードに関連した広告タイトルが表示されるため全体的に高いです。
検索クエリに関しても、自分では思いつかなかったニッチなキーワードをいくつも見つけることができました。使えそうなものは通常の検索連動型広告の広告グループに追加できるので、キーワード拡張の際も有効的だということがわかりました。
予想外だったのはCVがこんなに獲得するのは予想外でした。通常の検索連動型広告でもCPA1,500円ほどなので約1,100円も抑えれることには驚きです。
動的検索広告のAIは、予想していたよりも優秀で、最適なコンテンツのページに誘導できていたようです。
ここまで結果が良いなら、通常の検索連動型広告を辞めて、動的検索広告をより最適化して結果を出すのも一つのやり方だと思います。
まとめ
キーワードやリンク先を設定しないので、ちゃんと広告が配信されるのか心配になる運用者もいるかもしれません。しかし、優秀なので一度使用することをおすすめします。
特に、キーワード拡張を考えている方、通常の検索連動型広告が表示されない方は、動的検索広告を使用することで、現状の改善につながる可能性があります。